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ディベート形式によるFDシンポジウム

(5-b) 学生を参加させるFD

ディベート形式によるFDシンポジウム

文責: 溝上 慎一

◆実践名:

ディベート形式による工学部FDシンポジウム (2001〜2002年度実施 )

◆組織:

京都大学工学部・新工学教育プログラム実施検討委員会

京都大学工学部では、1999年4月以来、新工学教育プログラム実施検討委員会を作って、工学部教育の諸問題について検討をおこなってきた 。その結果として、2000年12月より、アンケート方式による「学生による授業評価」を実施し、2001年3月より、その授業評価の結果を 検討するという形で「FD(ファカルティ・ディベロップメント)」のシンポジウムを開催してきた。

FDシンポジウムは、工業化学科、地球工学科(2001年3月)、ついで物理工学科(2001年8月)、建築学科(2001年11月)、 電気電子工学科(2002年3月)、情報学科(2002年9月)の順で開催された。

FDシンポジウムの特徴は、教官側パネラーと学生側パネラー、モダレータを設定し、それらのディベート形式で討論を進めた点にある。 ただし、”工業化学科”(2001年3月)〜”電気電子工学科”(2002年3月)までのFDシンポジウムでは、学生側パネラーは教員チームで 代行された。教員チームによる学生側パネラーは、できるだけ学生の視点に立って意見や反論をおこない、教員と学生のもつ認識や理解の 「共有」と「ズレ」の検証が目指された。

2002年9月におこなわれた”情報学科”でのFDシンポジウムでは、学生側パネラーとして実際の学生(学部生、院生)が参加し、 議論もより真実味のあるものとなった。

ディベートの風景1 ディベートの風景2
ディベートの風景3 ディベートの風景4

<写真>ディベートの風景

FD(ファカルティ・ディベロップメント)のシンポジウムやワークショップは、概して教官側だけで実施されることが多かった。 それまで教官同士が集まって、教育や授業について議論するということさえほとんどなかったわけである。したがって、FDの取り組みとして、 教官だけでも集まってとにかく議論をしようというスタイルは、決して間違ったものではない。

しかし、近年、FDのシンポジウムやワークショップに学生を参加させる実践が見られるようになってきた。京都大学工学部・ 新工学教育プログラム実施検討委員会の「ディベート形式によるFDシンポジウム」はその1つである。

はじめは、学生側パネラーとして実際の学生を参加させることに躊躇いがあったようだが、最後の情報学科の回では、 実際の学生を参加させて、教官側パネラーと討論をおこなった。両者の考え方のズレが、授業観や学習観、キャンパスライフなど、 さまざまな面で露呈し、意義あるFDシンポジウムとなっていたと考えられる。

ところで、このディベート形式によるFDシンポジウムの運営の仕方には、もう1つ興味深い点がある。それは、各学科で個別に実施した 「学生による授業評価アンケート」の結果をもとに、教官側パネラー、学生側パネラー、モダレータ間のディベートをおこなったことである。 工学部全体の授業評価結果をもとに討論をおこなうとなると、下手をすると、抽象度が高く、個別具体的な実践にはなかなか結びつかない 一般的議論で終始してしまいがちである。しかし、ここでのシンポジウムでは、学科毎の個別具体的な結果をもとに討論がおこなわれていたから、 それにもとづいた議論は、当然のことながら各学科の個別事情にかなりの程度通じるものがあったと考えられる。

ディベート形式による工学部FDシンポジウムの実施詳細は、下記の2冊の報告書にまとめられています。

報告書1 報告書2

○京都大学新工学教育プログラム実施検討委員会『ディベート形式による工学部FDシンポジウム−工業化学科・地球工学科・物理工学科』 京都大学高等教育叢書12.(2001年12月)

○京都大学新工学教育プログラム実施検討委員会『ディベート形式による工学部FDシンポジウム(建築学科・電気電子工学科・情報学科) および授業参観にもとづくジョイントワークショップ報告』京都大学高等教育叢書15.(2002年1月)