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英語U

(1-f) その他

自らの思考と表現を重視した英語教育

文責: ロバート・ファウザー

動画01 動画02 動画03

*動画は授業の雰囲気を伝えるものです。頁内容とのリンクは基本的にありません

*動画をご覧いただくにはQuickTimePlayerが必要です。

◆授業科目名:

英語UA・英語IIB 前期・後期シラバス

◆授業担当者:

ロバート・ファウザー (京都大学総合人間学部助教授)

◆テキスト:

授業のホームページからネット上の内容にリンク (前期) (後期

◆授業のテーマと目的:

2002年度から2回生の英語の授業はセメスター制の部分的な導入によって、前期と後期に分かれますが、多くの学生は前期と 後期を履修するので、一貫の授業として扱いしながら前期と後期は違うテーマにしました。前期は世界の時事問題、後期は日本の時事問題に 分かれ、時事問題についての発表の準備を通じて、英語と日本語の多様なメディアや資料を使いながら、学問的な目的や個人の知的な 教養のために英語に対する自信感を与えることをこの授業の大きな目的としました。外国語教育の観点から、パワーポイント (マイクロソフト社の発表用ソフトウェア)でまとめる発表は、主に英語の発音とライティングの練習になり、発表を聞きながら 第2言語としての英語になれる機会にもなりました。

日本の大学における英語教育の大きな問題の一つは受け身的な授業構成にあります。この授業は、その逆のconstructivismという 教育理念に基づいて構成しました。特に、京都大学の場合には学生は既に英語についての知識を十分に持っていますが、知的な目的のために その知識を使う機会はまだまだ少ないのです。1週間の90分の授業時間では、英語力を向上することよりも、英語を知的な目的のために使いながら、 個人の関心や好みによって英語力を磨いていくことに焦点を当てました。

前期
(1) 導入期(1回目)

英語で授業をする場合、まず英語を母語とする先生に慣れることが大事です。そのために、2回目の授業まで私に自己紹介のメールを 書くこと課題として与えました。学生からもらったメールから各自のメール・アドレスをとり、授業のメールリングリストを作って、 学生にWelcomeメッセ−ジを流しました。 学生の英語力を推測するため、1回目の授業の中、授業の内容(Studies in Global Issues=「世界の時事問題」)を英語で説明しながら、 学生に口頭で簡単な自己紹介をさせました。

(2) 中間期(2回目〜9回目)

中間期には、英語に慣れさせながらも、英語での情報の探し方とレポートの書き方を紹介しました。授業中、練習する機会も与えました。 比較的に長い期間でしたが、ほとんどの学生は後期も同じ授業を履修しましたので、レポートと発表を英語でするためのstudy skillsを 詳しく教える必要がありました。レポートをメールの添付ファイルでもらい、それにコメントをつけて返信しました。英作文の練習もさせました。 発表時期が近づくと、パワーポイントを使った模擬発表をさせました。評価の対象になる期末個人発表のために練習をさせ、発音、話の速度、 ジェスチャーなどについて指導しました。また、メールで学生の課題、授業などについての質問 ()を受けたりもしました。

(3) 後半期(10回目〜11回目)

最後の2回は、評価の対象になる個人発表() を「発表会」という形で行いました。時間の制限で、発表時間を本来の計画よりも短くするしかなかったのですが、それでも質疑の時間を含めて 一人15分ぐらいの発表時間はとることができました。学生は他の学生の発表を聞きながら、その発表に対するコメントを書き、授業時間が 終わる前にそのコメント( 個人発表の例に対するコメントの例)を私にメールで送らせました。

後期
(1) 導入期(1回目)

前期と違い、学生を知っていたので、自己紹介は必要ありませんでした。前期の授業を反省して、授業のペースを速めたほうがいいと思い、 授業の内容(Social Issues in Japan=「日本の社会問題」)を説明しながら、前期の授業のペースとの違いを説明しました。

(2) 中間期(2回目〜7回目)

この期間は主にグループ活動の期間でした。学生を3〜4人のグループにして、日本社会に関連するテーマを学生同士で選ばせました。 授業時間中と時間外にグループの「打ち合わせ」時間を与えましたが、授業中の活動は個人とグループの発表練習の指導に焦点を当てました。 前期と同じように、この授業の中期と後期に学生から添付ファイルをもらって、コメントをつけ返信しました ( 先生からのコメント付き(RJFの記号をクリック)ファイルの例) ( 先生からのコメントについての説明のメールの例)。期間の最後に、評価の対象になるグループ発表を行いました。

(3) 後半期(8回目〜13回目)

1年のまとめでもあるこの期間には、前期の個人発表の活動に戻りました。独創性を引き出すため、現在の日本の「キーパーソン」を 1人選んで、その人について詳しい発表とレポートを準備させることにしました。「キーパーソン」について研究するためには、 study skillsを使いながら、幅広く情報を得る必要がありました。レポート ()を書く際には、英語のスタイルや 時制について細かく考える必要もあります。期間の最後には、評価対象となる個人発表を行いました。最後の発表でしたので、 パワーポイントとプリントの使用については学生に任せましたが、多くの学生はプリント ()を配って、 パワーポイントで発表をしました。

(1) 授業後の感想

この授業の最後の日に留学生の1人が皆で「パーティー」でもしようかと提案しました。1年間一緒に勉強したりグループで発表したり したので、学生は授業者である私や他の学生に親しみを感じていたことが分かりました。10年前に韓国の高麗大学で英語を教えたときには よくあることでしたが、今の日本の大学の英語の授業では珍しいことで、少し驚きました。特に、私は2002年度の4月に京都大学に来て、 学生にはまだなれていませんでした。ですから、学生にとってこの授業がどの程度のインパクトがあるかわからず、結果は期待以上でした。 何人かの学生は最後の課題をメール(例1例2例3)で送りながら、授業に対する感謝を 見せくれました。先生と学生との知的な交流から生まれる親しい関係という意味で、(古典的な)「大学らしい」授業になった、 成功したと感じました。

外国語教育の側面については、この授業は一週間に90分という、先進国では他に例をみない厳しい時間的制約があったように思います。 しかし、その中でも、確実に学生の英語力を向上させることができたと感じます。英語ではなく、日本語でさえも発表するのに自信のない学生が、 1年に3回も英語で発表したのです。このことは学生に自信を与え、彼らのこれからの進路にも役立つことと思います。

(2) 問題点・改善点

問題点に関しては、前期の授業を反省して、後期で直すように努力しました。前期の最も重要な問題は授業のペースでした。 京都大学で教えた経験がないまま授業計画を立てたからでしょう。前期のペースは、学生の英語力に比べると遅すぎました。もっと早いペースで 授業を進めたら、もう少し授業のレヴェルを上げることができたのではないかと思います。ペースと関連した問題ですが、もう少しはやく 学生と親しくなればよかったと思います。授業は週に1回という時間的な制約がありますが、レポートや発表について研究室で相談を受ける などの方法で、学生ともっと親しくなることができたのではないかと思います。学生にとって英語を母語とする先生と親しくなることは、 「生の英語」に対する動機付けや自信をつけるとともに、異文化に対する理解や関心を深めることにもなるだろうと期待されます。

夏休みを経て、前期の授業で反省したことは、まず授業のペースを速めることでした。模擬発表と評価対象となる発表の回数を 倍に増やすことにしました。また、「親しさ」に関しては、学生同士の人間関係を深める機会を作ることにしました。つまり、前期の 個人を中心とした活動の代わりに、3〜4人のグループ活動を導入したのです。学生同士の親密な関係は、先生と自然に親しくなる効果もあると 考えられます。結果として、評価対象となる発表は、グループの発表で1回、個人の発表で1回となりました。課題を倍に増やしても学生から 文句はなく、かえって、多くの学生はそのチャレンジを楽しんだように見えました。この点については、他の学生とグループを組んで 活動させたことが、功を奏したように思います。ただし、後期は、全ての問題が改善されたとはいえません。言うまでもなく、学生と接する時間は 短く、学生と先生が1つの授業について丁寧に集中して、知的に取り込めたかどうか疑わしいものでした。時間の関係で、シラバスに書いた ウェブサイトは実現しませんでしたし、授業のウェブサイトにあるBBSも活用されませんでした。後悔が残ります。いくらかは 制度的な問題かもしれませんが、私の担当する授業内でできることは改善していきたいと思います。それは次回の課題であるでしょうが、 力を尽くして頑張ってみたいと思います。